2019実践研究報告集NO.1821
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復興住宅カタログには,NBCに準拠した組積造(⽯,レンガ)+⽬地(セメント,泥)17タイプが掲載された。住⺠は,この住宅カタログから住宅タイプを選ぶことにより,耐震性を考慮した住宅設計を⼊⼿でき,建築許認可制度を簡易化することができる。1.3.3ミニマムリクワイヤメント(MR)ミニマムリクアイヤメントは住宅を⾃由設計するヤーは,ロール状で市販されているため,⼭間部への⼈⼒による搬⼊が可能である。そして建物近くでメッシュ形状への編み込み成型を⾏う。図2̶2に⽰すように,ネパールでは⼟⽊⼯事⽤蛇篭の成型が現場で⾏われることが多く,この技術はよく知られている。そミニマムリクアイヤメントは,住宅を⾃由設計する際の守るべき最低基準として1. 敷地条件,2. 建物形状,3. 材料,4. 基礎,5. 垂直⽅向補強部材,6. 1F床部分梁,7. 壁,8. 開⼝部,9. ⽔平⽅向補強部材,10. 屋根の10項⽬から構成される。これら10項⽬の守るべき最低基準は,住⺠に建築基準をわかりやすく伝えることを⽬的として作成されている。表紙各住⼾モデル図1-3復興住宅カタログ第1巻してこの成型技術は,特殊⼯具が必要ではなく技術的にも難しいものでないため,住⺠⾃ら数時間のトレーニングでメッシュ成型技術を習得することが可能であると考えられる。1.4耐震補強の必要性震災から4年が経過し,現地では耐震⼯法の復興住宅の再建事業が進んでいるものの課題も浮き彫りになってきた。表1-1に⽰す住宅被害総数755,549のうち,2016年1⽉から5⽉に実施された中央統計局による世帯・家屋被害調査によると,5段階の被害グレドの内グレド3(SubstantialtoHeavy蛇篭施⼯⾵景蛇篭による斜⾯補強レードの内,グレード3(Substantial to Heavy Damage),グレード4(Very Heavy Damage)及びグレード5(Destruction)の家屋が563,696⼾となっている。グレード3の⼀部の被害がひどいものが全壊とみなし,全壊家屋は498,852⼾,半壊家屋は256,697⼾となる。この未曽有の災害に対して,政府の住宅再建制度は,上記の約50万⼾の全壊家屋の新築再建に焦点をおい図2-1ネパールにおける蛇篭使⽤事例て耐震基準の政策がおこなわれた。そのため既存住宅の耐震補強に対するガイドラインの施⾏は後⼿にまわった。半壊家屋は,被害状況がさまざまであり,また既存住宅そのものの耐震性能の把握が難しいこともあり⼤きな課題として残った。実際,半壊家屋の多くは,耐震補強が可能な場合でも,取り壊して新築に建てなおすケースが少なくなかった。また復興住宅の新築再建案件でも⼭間部ではアクセスも悪くセメン築再建案件でも,⼭間部ではアクセスも悪く,セメント等の建設資材の搬⼊も困難である地域が多く,耐震性不適合のケースも多い。このような課題に対して,⼈的被害軽減を⽬的とした現地で⼊⼿可能な材料によるローコストな耐震補強⼯法が必要である。2.蛇篭を⽤いた耐震補強⼯法⽯積み組積造の耐震補強技術として,セメントモルタルの仕上げを必要としない蛇籠状メッシュを⽤いたジャケッティング⼯法の提案である。通常の⼟⽊⽤蛇籠は名の通り,籠状(1m四⽅程度)の中に⽯を詰め込むものであり,斜⾯補強や道路脇のフェンスとしてネパール全⼟で普及している。(図2-1)今回⽯積み組積造住宅の耐震補強技術への転⽤と今回,⽯積み組積造住宅の耐震補強技術への転⽤として技術開発を実施した。既存住宅にも適応できるようメッシュ⾃体は後施⼯が可能であることが条件である。蛇籠ジャケッティングで使⽤するワイヤー(2〜3mm径の亜鉛メッキ針⾦)は,⼟⽊で使⽤されているものと同等のワイヤー径,亜鉛メッキ量の仕様であり,地⽅部の建材⼩売店で市販されている。このワイ図2-2ネパールにおける蛇篭メッシュの成型

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