2019実践研究報告集NO.1821
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⾯と組積体をつなぐワイヤー(以下コネクター)を配したのに対し,解析モデルでは,組積体板要素と蛇籠の接触を評価するためコネクター要素はねじり部ごとに配した。解析結果,組積体の⼤変形が追えず,補強ありの変形は0.68 ㎝だったのに対し,補強なしの変形は0.82 ㎝(補強ありの1.21 倍)であった。その後解析⼊⼒値の検討によりせん断弾性係その後,解析⼊⼒値の検討により,せん断弾性係数(G)の値を変更した。コンクリート,鉄,⽊などの解析ではせん断弾性係数の値はポアソン⽐を⼊⼒におり,モデルは解析できていたが,今回の解析では,組積造では下記の式によりせん断弾性係数を求めている。組積造:G=E/5(1+V)もしくは解析モデル詳細(補強あり)G=E/6(1+V)G:せん断弾性係数,E:ヤング係数,V:ポアソン⽐これにより,変形は以前の解析より⼤きくなったものの,まだ実験の挙動には⾄っていない。5.まとめ今回の実験や試験体の施⼯を通して,蛇籠メッシュは現地で普及しうる耐震補強⼯法として,以下の点に関して,重要性を有していると考えられる。1)現地で⼊⼿可能な材料であり安価。変形図図4-2NASTRAN(FEM解析プログラム)による解析・このワイヤーは,ロール状で市販されているため,⼭間部への⼈⼒による搬⼊が可能である。・今回の⼀棟分の材料代は,約NRP20,000(⽇本円で約2万円)であり,他の補強⽅法と⽐較しても安価である。2)専⾨的な技術を必要とせず,施⼯が容易。・成型技術は特殊⼯具を特に必要ではなく,技術的にも難しいものでないため住⺠⾃ら数時間のトレー<研究主査>・今井弘ものづくり⼤学教授・博⼠(⼯学)<研究委員>にも難しいものでないため住⺠⾃ら数時間のトレーニングでメッシュ成型技術を習得することが可能である。3)あらゆる建物形状や損傷具合に対応する柔軟性をする。・振動台実験の結果,脆性破壊を防ぎ,倒壊防⽌に効果的である。また上部からの組積体の落下を防ぐため耐震補強として⼈命被害を軽減する。<研究委員>・設楽知弘⽑利建築設計事務所海外事業部課⻑・博⼠(学術)・Teddy BoenWorld Seismic Safety Initiative(WSSI) Indonesia Senior Advisor・博⼠(⼯学)・HariRam ParajuliNational Reconstruction Authority(NRA)今後,本実験結果と基に,終局強度ベースの解析⼿法の研究を継続する必要がある。そして建設⼯法も,より安価で簡易な⽅法の研究開発を進める。この実験結果及び映像は,すでにネパールをはじめ途上国の被害軽減に向け防災意識向上ツールとして耐震補強普及に活⽤されている。Executive Committee member・博⼠(⼯学)<活動協⼒者>・⼩村井貴世千葉⼤学博⼠後期課程・鈴⽊弘樹千葉⼤学教授・博⼠(⼯学)中澤博志・中澤博志防災科学技術研究所・博⼠(⼯学)・RameshGragainNSET*当実践研究報告普及版は『住総研研究論⽂集・実践研究報告集』No.46の抜粋版です。参考⽂献は報告集本書をご覧ください。

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