2019実践研究報告集NO.1820
3/11

1.実践の背景1.1実践の社会的背景本研究は東京都江⼾川区⼩松川地区にある再開発完了地区における地域内商店街(団地内商店街)を起点にして,地域における商店街の活性化に⾼校⽣が参画することを⽬的として⾏う。本研究の背景として⾼齢化社会の商店街の維持は「買い物弱者」対策として急務であるすでに東京都港区では再開発地区における1.2 試⾏実践の⽬的試⾏実施として東京都江⼾川区⼩松川地区にある再開発完了地区における団地内商店街の活性化に⾼校⽣が参画することを⽬的として⾏った。務である。すでに東京都港区では再開発地区における買い物弱者問題が2014年には露呈しており、⾏政として対策が求められる状況となっている。東京都の⾼齢化率は全国の⾼齢化率と⽐較すると緩やかな傾向であるが,⾼齢化が⼀層進むことが予想されている(総務省資料より)。本研究の対象地の⼀つである東京都江⼾川区⼩松川地区にある再開発完了地区では2014年には⾼齢化率が19%を越えており,⾼齢化の進⾏は早いといえる。(図1-2)。ここでは再開発に伴い,それまで点在されていた商店街が集約されたことにより街はきれいになったが活気は失われつつある状況となっている。商店街の衰退は都⼼といえども「買い物弱者」を⽣むことが予想され,商店街の維持が急務となる。⾼校⽣が商店街の活性化に参画することによって,図1-1研究対象地と本校の位置(Google Mapより作成)研究対象地である東京都江⼾川区⼩松川地区(図1-1)は,1980年3⽉から2009年3⽉にかけて市街地再開発された地区である。本研究の背景として⾼齢社会において商店街の維持は「買い物弱者」対策として急務である。ここでは再開発に伴いそれまで点在されていた(i)「⾼校⽣と商店街が地域を再考し,その地域の魅⼒を発⾒し地域に発信することによって社会がどのような取り組みをどのような背景で取り組んでいるか実態を捉えながら活動を進めることができる」,また,(ii)「⾼校⽣が地域を知り,地域の⼈が地域を再発⾒することで,商店街で働く⼈々,⽣徒がどのようにして課題意識を構築していくのかの様相を捉えることここでは再開発に伴い,それまで点在されていた商店街が集約されたことにより街はきれいになったが活気は失われつつある状況となっている(写真1-1)。そのような状況で近隣に⽣鮮⾷料品を扱う商業施設は500mを越えており,徒歩圏内とはいえず,⾼齢者にとって⽣活していく上での⼤きな不安のひとつとなっている。農林⽔産省による買い物弱者の定義では,「買い物弱者とは、⾃宅から半径500m(徒ができる」と考えた。さらに,アージリスら(1976,「組織学習」)のすでに備えている考え⽅や⾏動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくシングルループ学習と既存の枠組みを捨てて新しい考え⽅や⾏動の枠組みを取り込むことであるダブルループ学習が商店街の⼈々,参加した⽣徒に起きると仮説を⽴てたこれら商店街の課題歩圏内)に⽣鮮⾷料品(⾁・⿂・野菜)を扱う店舗がない」こととされている。東京都内ではあるが,近年「買い物弱者」の問題が表⾯化するのは時間の問題といえる(図1-3)。写真1-1再開発前後の同じ通りの変容(パル・プラザ商店会提供資料・昭和58年)た⽣徒に起きると仮説を⽴てた。これら商店街の課題に対峙する⽣徒の様相を分析するとともに商店街に⾼校⽣が参画することによる地域活性化のモデルとして提案し,⾼等学校における地域活性化の指導の在り⽅について検討する。図1-2江⼾川区⽴⼩松川地の⾼齢化率(江⼾川区町丁⽬別世帯と⼈⼝・年齢別⼈⼝報告)図1-3 東京都内商店街数の変化(2018年度東京都商店街実態調査報告書)

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る