2018実践研究報告集NO.1723
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写真1‐3 「その他条例」研究会(2016年9月17日)ホームページ上に2014年から,区内のイベントを一元的に集めた「みやまえじもとイベントカレンダー」を開設し,情報を収集した。さらに,2015年には,「『みやまえ人』発掘ワークショップ」を開催し,各種市民団体のメンバー数十名にそれぞれが推薦する「宮前区の一押し人」を挙げてもらい,区内の人的資源を網羅的に把握した。その後,『みやまえ人』の活動現場に足を運ぶことで,多くの団体が,「場,資金,人材」や「情報の発信及び入手方法」の不足に悩み,活動の発展や継続性が危ぶまれる原因になっていることに危機感を抱いていた。そこで,様々な主体が一堂に会するプラットフォームを準備することで,個々の地域資源(活動団体)が自然に繋がり,連携し協働していく「創発的」注1)な動きが生まれるのではないかと想定した。プラットフォームの具体的な活動の「場」としては,「場や資金,人材の確保」さらには「行政や他セクターとの連携」につながり,また普段地域の活動に参加していない住民に活動が可視化され,活動に参加してもらえるような仕組みとして,今回の実践活動となる「公園を使ったまちかどマルシェ」を計画した。可視化には,多くの人が自由に出入りする公共の空間が最適である。普段何げなく足を運ぶ,たまたま目にする,日常生活のなかに存在する公共空間が公園である。公園は,どこにでもある公共空間で,ほとんどの人の徒歩圏内にある。また,大きなオープンスペースである公園であれば,区内の様々な「地域資源」が共に出展・出店して,楽しい場をつくることができ,近隣住民が集い,新しい繋がりや関心も生まれるのではないか。また,そうした市民発の取組には,行政を含む他のセクターも関心を寄せるのではないか,と考えた。第9位の低さである文5)。また,人口は増え続けているものの,転出入が多く,5年前と現在の住所地が異なる移動人口比率が,特に鉄道沿線で30~35%以上と高い(図2-1)文6)。マンションなどの共同住宅世帯は区内全世帯のほぼ7割であり文6),前述した近隣関係を築くことが難しい条件の一つである住まい方が際立っている。これもまた鉄道沿線地域で際立って多い(図2-2)文6)。宮前区のコミュニティ意識については,川崎市民アンケートで表2-1のような結果が得られている文7)。本実践活動は,川崎市宮前区,田園都市線の宮崎台駅から徒歩2分の「宮崎台おちば公園」で実施した。宮前区が,郊外住宅地としてコミュニティ形成のむずかしさを内包し,なおかつ住民同士の関係の希薄さを不安に感じている人が多い地域だからである。とりわけ,居住歴の短い,集合住宅居住者が集積している鉄道沿線周辺はその傾向が顕著である。そこで,鉄道沿線周辺の住民を対象とするため,駅に近い公園を選択した。2.2活動主体と活動の経緯について2.2.1  コミュニティプラットフォーム企図までの経緯このような背景を抱える宮前区で,2012年に本実践活動の主体である「宮前まち倶楽部」は発足し,目的を「宮前区をベッドタウンから,人々の故郷であるホームタウンに変えるための「仕組づくり」や「場作り」を行うこと」とし,活動の三本柱を「地域資源(人,場所,団体等)の発掘」「資源の可視化」「参加のデザイン」とした。(HP:http://machi‐club.net/)地域資源発掘には,地域の各種イベントや活動に足を運ぶ活動を主に,図2-1 居住歴5年未満の人口割合図2-2 町丁別共同住宅の割合表2-1川崎市市民アンケート:宮前区抜粋

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