2018実践研究報告集NO.1722
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5.3アート作品注1)の解説(1)Arita Future Cityscape by LokJansenロク・ヤンセン氏は、有田の山並みを背景に過去・現在・未来そして自然へと回帰していく都市風景の変遷を、マンガの手法を用いて4枚の襖に描いた(図5‐2)。ものづくりの革新性を表象する樹木状のタワーは自然や伝統的町並みと有機的に調和して描かれ、未来の有田の創造的な姿が明るく表現されている。これは江越邸の2階の窓から見える煙突の風景に着想を得た作品であり、有田で取材した要素が散りばめられている。色は青を基調とし、ハイライトとしてピンクが用いられている。青は有田焼の染付の色であり、顔料がどのように各地に伝わり、進化してきたかについても調査し、その知見が表現に生かされている。古いものと新しいもの、自然と人工物が対立するのではなく、有機的に調和する様子が描かれている。(2)Future Aritaby Sato Endo and Nicola Unger遠藤暁子氏とニコラ・ウンガー氏は、美しい自然の風景と伝統的な町並みの中で人々がものづくりに勤しむ未来の有田の姿をダンスパフォーマンス映像により描いた(図5‐3)。未来の有田の住人を演じるダンサーが、投影された有田固有の磁器、古地図、図案、山並み、町並み、建築空間のイメージと戯れ、想像上の未来の都市風景が生き生きと描き出されている。今後、有田の新しい担い手の受け皿として活用される予定の江越邸も未来の風景の一部として登場するほか、有田の自然風景、都市風景、やきもの、やきものの図案などがダンサーとの相対として様々なスケールで登場し、様々な視点から有田のまちを眺める体験に人々を誘う作品に仕上がっている。映像に音声はなく、虫の音や電車の走行音などの環境音と融合して現地に設置されることにより完成する作品である。図5-3Future Arita by Sato Endo and Nicol Unger (映像作品のスクリーンショット)図5-2Arita Future Cityscape by Lok Jansen( © Lok Jansen)

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