2018実践研究報告集NO.1721
9/10
図4‐5学生によるペット関連の諸施設の提案②団地ヘルスアップ(団地・健康)ストレスが多い現代社会、団地のおおらかな屋外空間はそうしたストレスを和らげる空間として適していると考えられる。先に紹介した「団地庭園」「団地農場」や「団地内外の散策路やサイクリングロード整備」などいずれもヒーリングの面からも効果がある。都市生活において豊かな自然とは何か、人間にとってより安らぎの得られる自然とはどういったものか、心身両面での健康志向にマッチした企画の検討が必要とされる。団地ヘルスアップ(団地・健康)、豊かな空間を持つ団地が多種多様な健康ライフスタイルの実現のフィールドとなる可能性がみえる。4.5. 団地ビッグデータおよび今後の展望団地はその敷地ごとに検討され、各々が個別性を持っている。ただ、住宅政策上の要件や各年度の社会状況、需要構造などによりある程度は団地の形態を類型化できる。多数の団地の多様なデータを整理することにより、団地の特性と共通点を知ることができ、再生に向けた検討対象の選定や手法の他団地での転用の範囲を知ることができる。こういった数値データはすでにURもJSももっていない訳ではないが、これまでは個々の団地の基礎資料として用いられてきた。私たちはそういったデータを団地という土地およびその空間組織のデータとして集約することを考えている。東京圏の団地総数953か所のうち、住戸規模1000戸以上の団地が103か所であることはすでに分かっているが、その位置関係、合計敷地面積、総住戸数、その団地のある日の総空室数などから、なにか展望を得ることはできないだろうか。今回の調査とした花見川団地、高津団地は、千葉県の内陸部の比較的平坦な郊外部の昭和40年代建設団地をフィールドとしたが、地域性の違いにくわえ海浜部や高低差の大きな敷地など敷地形状の違いによってもまた別の課題やニーズと再生のヒントが存在する。今後の再生手法の検討にあたって、各団地の特性を個別に把握すると同時に、他団地での転用の可能性も検討していく必要があるだろう。<研究主査>・木下庸子工学院大学教授<研究委員>・渡辺真理法政大学教授・井関和朗団地研究所代表・ジョン・リージャー工学院大学客員研究員<研究協力者>・工学院大学木下研究室梶川和也渥美龍馬及川潤加藤諒太高橋明久中原拓弥金元優太小森悠士郎杉原未頼茂木幹也・法政大学渡辺研究室阿部りさ上田渓陳禹鳳丸山泰平山本剛大阿部夏実矢萩健吾*当実践研究報告普及版は『住総研研究論文集・実践研究報告集』No.45の抜粋版です。参考文献は報告集本書をご覧ください。
元のページ
../index.html#9