2018実践研究報告集NO.1721
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園・ガーデンミュージアムの整備など、学生からの提案も十分実現性のある提案といえる。図4‐2学生によるガーデンを使ったコミュニティの提案団地の緑環境の持つ潜在的力を「団地庭園」として顕在化させ価値として位置づける、団地力活用提案といえる。③団地エコロジー(団地と地域の生態系連携)団地内の多様な植生は多様な生き物を呼び込んでいる。花見川団地の蝶のように、すでに多くの連続が周辺の自然との間に生じている。今後は意図的に団地庭園を周辺の緑地や水系、他の団地庭園と連携させることにより新たなグリーンベルトを形成し、都市内のビオトープネットワークに寄与できると思われる。緑地は飛び石状でも生態系の連続には効果が生ずるともいわれており、既存の団地緑地の整備を通じて都市内緑地のネットワークを整備することは、自然豊かなまちづくりを目指した都市再生課題ともいえる。4.3. 団地ファーム(団地農場)①郊外での産業との連携日本の住宅団地の大きな特徴として、居住機能に特化した住宅地計画がある。住宅難の解消に向けて一戸でも多くの住宅を作ろうとした政策でもあった。今日、URにおいても都心ではSOHO住宅(小さなオフィススペースを取り込んだ住宅)や在宅ワーク支援住宅(制度上住宅の枠内で一定の業務を行うことを認めた住宅)など、職場と住宅の連続や連携した住宅企画が実現している。郊外団地においては在宅勤務等のオフィス系業務の連携(SOHO住宅)のほか、団地の屋外にある「団地力」を活用して、農業などの一次産業を身近に取り入れたSOHO (スモールファーム、ホームファーム)はできないであろうか。団地の屋外計画としてすでに居住者用のクラインガルテン(小規模な農地、団地内の市民農園)や農業用ハウスを用意したコミュニティ菜園は実施されている。図4‐3学生による郊外連携の提案これらの動きに加えてさらに植栽計画として果樹園や野草園を加えるなど、屋外の緑環境を活用した新たな魅力の創出とコミュニティの活性化の可能性が考えられる。駐車場は今後車の保有率が低下する方向にあり、アキが出てくると思われる。駐車場用地の団地農場への転用など、土地利用の変更の可能性を考えたい。図4‐4学生による駐車場用地転用の提案果樹の樹種選定にあたっての景観上や鳥対策などの生活上の配慮が必要となる。ビニールハウス等の構築物なら法的、意匠的、コスト的検討が必要となる。また住棟の空き室(4、5階)を活用した屋内ファーム(水耕栽培)などもアイデアとしては楽しいが、法的制度的な整理から行う必要がある。4.4. 団地ヒーリング(ペット活用)①安らぎをもたらす企画戦後家族像が大きく変化する中、単身世帯、高齢世帯が増えており、ペットは家族の一員となりつつある。「高齢者+ペット」は団地によっては今や標準家庭像となっており、URにおいてもペット飼育可能な団地がふえて来ている。ドッグランやペットクリニック、美容院、ホテル、グッズショップ等が考えられる。団地の屋外を活用したドッグランや団地空き施設を活用したペット関連の諸施設など、団地内に生じつつある新たな需要に対する企画が考えられる。
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