2018実践研究報告集NO.1721
4/10

写真2‐2小島氏へのインタビューの様子図2‐3当時の花見川団地のスケッチ花見川団地は大規模団地ではあるが、ワンセンターで「何とか歩行の上限距離をクリア」するように考えられたそうである。センター施設は全長400メートルに及ぶ路線型施設となっているが、それは大規模団地において施設の利用圏に関して全ての住人の歩行到達距離を平等とするためであった。その結果、小学校や中学校は端に立地している。このことは、今のような少子化時代になると学校が統廃合され街のにぎわいが衰えるが、それでもセンターの存在をできる限り保持するという点においては見識ある判断であったであろう。ちなみに、花見川団地のセンターは野生司事務所が担当し、軽量鉄骨でつくられた幼稚園は女性建築家の吉田あこさんが手掛けられたという。設計に携わった小島さんからでないと得られない情報である。最も興味深い話は、花見川団地の工事に際し地元住民が「大きな団地だから周囲への影響も大きいと思われるので意見を言わせてくれ」というリクエストがあり、小島さんが直接意見を聞かれたそうだ。その内容は、地名を大事にしてほしいという趣旨であったが、結局通し番号になってしまったが、かつての地名が残っていればどうであったか。もしかしたら過去の名前を発掘、継承することは、これからでも遅くないのではないだろうか。2.4. 花見川団地100円商店街パネル展示およびアンケート調査:2017年10月21日団地内住民の人へのヒアリングの機会がないかどうかをURとJSの関係者に打診していたところ、「花見川団地100円商店街」開催時であれば空き店舗のシャッター前で展示とヒアリングをしてもよいという、願ってもないお話をいただいた。10月10日10日に事前調査を行ない商店街の副理事長ともご相談のうえパネル展示の場所を決定した。パネルには団地の概要、年度別人口ピラミッドのほか、学生たちの色紙に団地での感想を表現した「団地ハイク」を加えた。当日はアンケート用紙のほか、アンケート回答者への謝礼として「団地ハイクのブックレット『集い』『住まい』『潤い』」を準備した。また、「団地ハイク」にはアンケート回答者に気に入ったハイクに「いいね」のポストイットを付けてもらった。21日はあいにく一日中雨模様だったが、パネル展示を見に来てくれた団地住民(あるいは団地外住民)アンケート調査のほか、かなり長時間のヒアリングを行うことができた。若い男子学生はとりわけ高齢者の女性に人気で、気さくに対応していただけた。このインタビューには今日の団地を巡る様々の状況が浮き彫りにされたので、「団地(を巡る)ナラティブ」と名付けた。ちなみに「団地ハイクブックレット」はことのほか好評で担当学生は現地でも追加製作に追われることになった。ヒアリングの結果「自然遺産としての団地」が大きな団地力として潜んでいるという事実を改めて認識するに至った。それは「蝶々や昆虫がいる」「団地内の畑で採れた野菜カレー」「桃の木があって好き」「毎日違う野菜が売られている」「歩くことが運動となる」「紫陽花がとてもきれい」などの住民コメントに象徴されている。写真2‐4花見川団地でのヒアリング2.5. 高津団地笑店会ギャラリーセレモニーパネル展示およびアンケート調査:2018年2月17日:前回の花見川団地のヒアリングに引き続き、URとJSの協力のもと、高津団地でも今回は「高津笑店」と呼ばれる作品展示とヒアリングの機会をいただいた。図2‐5高津団地でのヒアリング

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る