2018実践研究報告集NO.1720
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4.茅葺き体験ワークショップ4.1ワークショップの企画と準備補修方法が決まり,幾度かの試行によって工事の目処が立った段階で,住民や一般市民が参加する「茅葺き体験ワークショップ」を企画した。これは,茅葺きについて関心をもってもらい,保全の取り組みに共感を得ることを期待してのことである。ワークショップでは,一般的な「差し茅」に工程が近く,並んで同じ作業のできる「トラ葺き差し茅」を行うことにした。学生が中心になって企画を検討し,フライヤーの作成,地域住民への連絡,当日の茅葺き作業の計画,慰労懇親会の準備などの役割分担を決めて進めた。また,写真や動画の記録,参加者へのインタビューを行うことにし,その担当も決めた。期日は,工事の進み具合と地域行事の日程等を考慮して2018年1月7日とした。4.2ワークショップの実施ワークショップには,40名が参加した。図4-3に示すように,大学関係者,集落住民のほか一般からも13名の参加があった。さらに,プロジェクトを通じての協力者である奥日田美建の技術者2名,阿蘇茅葺工房の技術者2名にも参加してもらった。作業は,地上での「茅束づくり」と足場に登っての「差し茅」の2種類である。まず,スタッフがプロジェクトの趣旨と当日の作業内容や注意事項について説明した後に,茅葺きの体験に入った。「茅束づくり」は,茅を適切な長さ(約60cm)で切断し,茅の元末を揃えて差し茅に使いやすい分量でまとめ紐で縛るというもので,前庭を使って行なった。その際,初心者でも分量が揃うように,パイプをゲージとして使った(図4-2)。「差し茅」は足場の上で行われるため,グループを作った上でヘルメットを渡し,足場上へと誘導した。まず,スタッフが実演を行いながら説明した。作業は①修理箇所の選定②差し込み③叩き入れの段階を踏むが,トラ葺きのラインが揃うように①はスタッフが行い。そのうえで参加者には②と③の工程を体験してもらった(図4-1)。差し茅は,休憩を挟んで2時間ほどにわたって行われ,希望者全員が体験した(図4-4)。作業終了後に,内ヶ原公民館で慰労を兼ねた懇親会を開催した。そこでは,三苫氏に茅葺きに関する講話をしていただいた。図3-11差し杉皮の工程図3-12穴塞ぎの工程図4-1差し茅の作業

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