2018実践研究報告集NO.1719
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5.小川町商店街周辺住宅アンケート調査について5.1目的地震直後から主に小川町商店街通りに面する町家を中心に調査を行ってきた。地震以前から学生の卒業研究で調査した町家に加えて、地震直後の話合いに参加されて相談をされた町家や住宅等で、これまで合計16軒の調査をおこなった。しかし、まだ把握できていな伝統的町家等が存在する。そこでアンケート調査の目的は①昭和戦前までに建てられた町家・住宅等(蔵や工場含む)が現在どの程度残っているか?②今回の地震で解体された町家や住宅の中にどの程度昭和戦前の建物が含まれていたのか?の2点とした。5.2アンケート実施上の問題点①当初市に相談したが、宇城市は関与せず、各区長さんに依頼するようとのこと。今回各区長さんに配布をお願いしたが、最も伝統的町家が多い上町の区長さんは配布を断られた。②またご高齢の一人暮らしの方が多くできるだけ簡単な内容にせざるをえなかった。③一方、地震直後で、住まいの現状は仮設住まいも含め複雑であり、今回十分に設問に繁栄できなかった。5.3アンケートの方法(1)アンケート実施期間:平成30年9月26~10月15日(2)配布方法:区長さんに回覧と共に依頼。1世帯1票とする(3)回収方法:郵送による5.4集計結果(1)配布数と回収率:回収率の平均は26.9%である。(2)建築年代別残存する建築(住居、蔵、工場等)アンケート回収は122軒であったが、建物棟数別に集計すると138棟となった。建築年別集計結果を表5‐1に示す。回収率が配布数回収数回収率1⻲の町1323022.7%2出来町261142.3%3新町1283628.1%4中町441227.3%5上町注11100.0%6寺町35925.7%7蛭⼦町25728.0%8井⼿⼝631320.6%記載なし3合計45412226.9%注:上町は区⻑さんが配布を拒否され、区⻑さんのみ提出された。表5‐1 配布数と回収率建築年代⼾数割合平成5540%昭和21年~6144%昭和戦前97%⼤正54%明治32%江⼾32%記載なし21%合計138100%表5-2 建築年代別棟数26.9%の結果であるが、大まかな傾向と言える。昭和戦後が44%ともっとも多い。次いで平成の40%昭和戦後と平成で84%を占める。昭和戦税7%、大正時代4%、明治と江戸が2%である。(3)地区別建築年代別残存する建築参考までに地区別に集計した。伝統的建築が最も多く残る地区が上町・中町と思われる。今回上町が含まれないのが残念であるが、今後補足調査をしたい。昭和戦前以前の建築物は20棟であるが、そのうち15棟はこれまで把握しておらず、新に得られた情報である。5.5今後の補足調査アンケート調査により本目的を達成することは困難であることが分かった。それでもいくつかの新たな情報を得ることができた。今後上町をはじめ、現地に詳しい古老の方への聞き取りを行い、現地を回わって補足調査を行う予定である。6.各町家修復工事の特徴について小川町商店街の町家(新麹屋、宮崎床屋、塩屋、綿屋、長谷川邸、若城金物店、よろずや、稗方邸)についてグループ補助、熊本県未指定文化財補助を受けて修復工事を行っている。未指財補助を受ける場合、文化財的な価値を損なわないような修復を行うためにヘリテージマネージャ(HM)と設計士で関わることが求められる。小川町の町家の場合、HMとして磯田、設計士として松下さん(若城金物店、長谷川邸、宮崎床屋、よろずや)、高木さん(新麹屋)、福岡の片井さん(塩屋)、畑元さん(稗方邸)にお願いし、未指定文化財の補助は受けていないが那須商店の設計は吉永さんにお願いした。各町家ごとに修復方針等に特徴がある。ページの都合上「那須商店」について紹介する。⻲の町出来町新町中町上町寺町蛭⼦町井⼿⼝合計昭和戦前112149⼤正3115明治123江⼾33合計215624020表5-3地区別昭和戦前以前の建物数図6‐1「かんまち文庫」の紹介記事

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