2018実践研究報告集NO.1719
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(2)岐阜県・郡上八幡長良川の上流に位置する城下町である(図4‐2)郡上八幡の町並みの大きな特徴は水路が軒先に沿うように通っている点である。ここでは車道を少しでも広げるために暗渠となる地域は多いが、そのようなことはなされていない。しかし、それにより歩行者が水の流れを視覚と聴覚で楽しみながら、また,その地域らしさを感じながら歩くことができる町並みとなっている。このように歩行者が歩く楽しさを見いだせる計画も「歩行者優先の道」と呼べるだろう。また、小川町商店街付近には河川「砂川」が存在するが、住民にとって砂川は原風景の一つとなっている。郡上八幡の町並みは小川町において砂川の水を利用した水路を計画する際に参考にできる事例の一つになりうる。4.2.2計画案について本計画案における大きなポイントは石畳の舗装と左右交互に配置された樹木(図4‐3)の二点である。石畳の舗装に関しては前項に示した神門通りの事例のような効果を狙った。樹木を道路の左右交互に配置した意図は道路を蛇行させることで運転手に左右のハンドル操作を強い,減速を図るためである。この計画案は模型によって周辺住民に伝えられた。これまで水路を利用した計画等も作成し、住民に伝えてきたが、それらの計画案に比べ、本計画案は「概ね満足できる」という反応を多く得た。4.2.3水路の可能性について話合いの中で以前は当該通りに砂川から引かれた水路が流れていたことが明らかになった。水田用の水路としての機能がなくなり、現在は止められているという。堰を動かせば流すことは可能とのこと。地元の方々からは初期消火等の防火対策として必要ではという意見が出された。可能であれば郡上八幡のような開渠にできないだろうか。今後検討を続けていく。4.2.3歩行者優先のみち行政機関への相談と要望(1)交通管理者宇城警察署訪問2018年6月20日宇城警察署を訪問し、①②をお願いした。①道路上に書かれている制限速度表示が消えかかっているので対応をお願いしたい。②車のスピードを落とすためにセンタラインを無くし、車道を狭くして歩道をつくっていただけないか?話合いの結果①道路面の消えかかっている30㎞制限表示は県でまとめて対応することになる。②は道路管理者(熊本県宇城地域振興課維持管理調整課)に相談してほしいが不可能なことではないと思う。警察は交通管理者で信号も管轄の一つ、宮崎文房具店前の信号については検討したいであった。(2)道路管理者熊本県宇城地域振興局維持管理課2018年7月31日に訪問した。結果は次のとおり。私たちが考えているような歩行者優先道路(コミュニティ道路)は県道(当該道路は主要地方道)では整備が難しい。市道になればその可能性は高まる。当該道路を市道に、宮崎文具店からイオンモールの方へ走る市道を県道に、の交換は可能である。宇城市と相談されるとよい。宇城市から県へ相談があれば検討可能である。(3)宇城市訪問県道と市道の交換について2018年9月14日宇城市を訪問した。内容は以下の通り。歩行者優先の考え方や桜を植えたいということは素晴らしいと思う。当該ルート変更候補になっている市道(宮崎文房具→小川中→消防署→3号線)は4年ほど前に道路改良を行った。数千万かけている。合併特例債(借金)と補助金(55%程度)。借金があるので、もし、県道とする場合、その借金問題があるので検討する。また補助金を使っているので10年間は変更などしてはいけない規制がある。このことについても、県道に移行する場合どうなるのか確認する。一方、柏原さんから「これからの少子高齢化、人口減少の時代、従来の開発志向の考えをあらためるべきでは。コンパクトで「歩く時代」が来る」と。宇城市は確認してから会長に連絡する(成田土木部長)としているが、今だに返事がない(2018年10月末現在)。図4‐2郡上八幡の町並み(「岐阜の旅ガイド」)https://www.kankou‐gifu.jp/spot/1154/図4‐3樹木によって車両の減速を強いられる道路

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