2018実践研究報告集NO.1719
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被災状況棟数全壊6半壊9広範囲に及ぶ⽡の落下・壁の剥落、建物の傾斜18⽡の⼀部落下・壁の⼀部ひび割れ等52合計853.タイムライン-時系列にみた震災復興の活動3.1タイムラインⅠ:地震発生~2017年3月までの活動(1)第1期:2016年4月〜7月被災調査と話し合い被災調査が主な支援活動の時期である。坂田・磯田が5月11日に外観目視で被災調査をした結果を図3‐1に示す。商店街の通り沿いの建物を中心に調査を行った。全壊が7%、半壊が11%,広範囲に及ぶ瓦の落下、壁の剥落等が21%、瓦の一部落下、壁の一部ひび割れ等が61%であった。東側の山付きよりも、西側の不知火海に近くなるほど被害が大きかった。5月14日に上町区長、磯田研究室共催で「小川町商店街のこれからを考える」を開催した。町家所有者の方々からは古い木造建築に対する不安やこれまでの維持管理の大変さから取壊しの声が聞こえたからである。福岡から新建築家集団の建築士の方々に来ていただき、壁は崩れても構造体は無事であること、大規模半壊、例え全壊でも修復が可能であることを伝えた。「この小川町商店街をこれからどうするのか?これらの町家は小川町の宝では?」を参加者等と話し合った。手探りの中、この地震をきっかけに何か新しい取組みができそうな予感がした記憶がある。そのひと月後に同共催で「住宅相談会」を開催した。文化財ドクター文1)の調査をはじめ、外部から多くの方々が調査や視察にこられ、各町家を回ってアドバイスを受けたのも第1期の特徴である。また、坂田、磯田により登録文化財新麹屋の被災状況を調査する。(2)第2期:2016年8月〜10 月「グループ補助金」申請と地域住民参加の勉強会の開催伝統的な町家の修復には費用が必要で、中小企業庁による店舗等の修復の支援を行う「グループ補助金」文2)の募集が6月から開始された。坂田、磯田、建築士の方々とクループ補助申請のため各町家の被災状況を調べ、スケッチ及び実測を開始する。また解体される町家についても解体前にスケッチ・実測を行った。専門家の先生方が小川町商店街へ来られ、地域参加型「復興まちづくり勉強会シリーズ」として開催した。また文化財ドクターによる調査結果を踏まえて、この小川町商店街を石川県黒島のように「伝建地区」という提言書を8月に熊本大学伊東教授、建築士会会長から宇城市長に提出した。(3)第3期:2016年10 月~支援プロジェクト始動第3期は個々の町家の具体的なプロジェクトが動き出した時期である。一つは那須商店プロジェクト、もう一つはスイス時計店プロジェクトである。那須商店は町家がリノベーションされて残っていくプロジェクトである。一方のスイス時計店は残念ながら2017年1月に解体されたが、約2か月間にわたり所有者と地域の若者を中心に片付け作業の支援などの交流があった。3.2タイムラインⅡ:2017年2月~2018年10月の活動(1)苅萱会設立と街環を目指し、熊本県未指定文化財を申請した時期(2017年4月~2018年1月)地震発生から約1年間、被災状況調査やグループ補助申請等各町家ごとの対応が中心であった。町全体の将来ビジョンや町全体のことを考えることが必要であり、その時期が来ていると判断。柏原さん、平川さん等に相談して苅萱会を設立した。2017年6月6日第1回を開催。宇城市の都市計画課は予算がないので「街環」は対応できないと言われる。震災復興のこの時期に国へ申請すれば受け入れられる可能性が高いと思われるがまず市が動かないことには可能性がない。県文化課より2月に未指定文化財補助が発図3-2第1回苅萱会の様子被災状況棟数%全壊67%半壊911%広範囲に及ぶ⽡の落下・壁の剥落、建物の傾斜1821%⽡の⼀部落下・壁の⼀部ひび割れ等5261%合計85100%図3-1小川町商店街の被災状況

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