2019実践研究報告集NO.1718
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②利⽤を促す集会所の運営⽅法以下では,集会所の利⽤を促す運営⽅法についてポイントを整理する。【外部利⽤に開放する】⾼齢化が顕著である災害公営住宅では,交流イベントなどを運営できる居住者は限られているため,周辺地域に集会所の利⽤を開放することが重要であるニティ形成を図っていくことを⽬指して,これらの取り組みをサークルという形で公開して,それぞれ参加者を増強していく⽅針で動いてみることになった。具体的には,サークルメンバー募集の張り紙を掲⽰し,その結果,それぞれ数名の申し込みがみられた。またコアメンバーの⼀⼈が,⼩学⽣以下を対象にした学習サークルを新たに週1回集会所で開催し始めたりもした。地域に集会所の利⽤を開放することが重要である。利⽤が多ければ,多様な交流の機会が⽣まれる。【受益者負担の利⽤料制】集会所の維持管理には費⽤(⽔光熱費や掃除⽤具等備品,トイレットペーパー等消耗品等)がかかるが,それらを⾃治会費でまかなっていくと,集会所の利⽤が多いほど⾃治会運営が逼迫していく。そのため,利⽤料を適切に設定して,利⽤者(受益者)が維持管理た。⼀⽅で,災害公営住宅は居住者同⼠による共同管理が義務付けられていることから,それらを管理する居住者組織(いわば管理組合)の結成を図っていくことにした。塩竈市の場合,共⽤部(EV含む)の電気代,管球類(LED等)の取替費⽤などが居住者負担となっており,掃除⽤具,草刈り機,その燃料等の費⽤とあわせて予算を算出し⽉額千円の共益費を徴収する案を作成費を負担する仕組みとすることで,利⽤が多いほど維持管理費に余裕が⽣まれる。そうすることで,外部へ開放することにも理解が得られやすくなる。【予約のしやすさ】集会所の予約申込⽅法等がわかりにくいと,利⽤の妨げにもなるため,申込⽅法,利⽤ルール,利⽤料,空き状況等といった情報を分かりやすく公開しておくことが重要である清⽔沢東ではそれらをまとめたパ予算を算出し,⽉額千円の共益費を徴収する案を作成し,世話⼈会,広報配布にて周知していった。この動きに対しては,居住者らの反発もなく,2018年4⽉に1,2号棟からなる清⽔沢東会(169世帯)が結成され,共益費徴収も100%に近い割合で達成できている。また3号棟(31世帯)は同時期に単独で⾃治会という名称で居住者組織を結成したが,⾼齢化が著しいため,主な活動は共益費徴収,共⽤部掃除で,親睦的取り組みとが重要である。清⽔沢東では,それらをまとめたパンフレットを制作して配布している。【鍵の管理の簡便化】鍵の管理や受け渡しは,貸す側にとっても借りる側にとっても⾯倒なものでもあるため,キーボックスや電⼦錠のような形で,暗証番号で出⼊りできるようにすることも負担軽減策の⼀つであると考える。【カレンダー形式でのスケジュール発信】活動は共益費徴収,共⽤部掃除で,親睦的取り組み(バーベキュー,芋煮会)は,筆者らがサポートして開催するに留まっており,結果的に,清⽔沢東会同様,主に住宅管理を担う組織となっている。図3-1 益城町の仮設住宅・災害公営住宅の地図集会所のイベント情報については,カレンダー形式にまとめてチラシで配布したり,掲⽰板に張り出したりすることで,⾼齢者などにも伝わりやすくなり,利⽤が促進される。3. 熊本地震・益城町での復興⽀援の取り組み31コミュニティリーダーとの出会い3.1.コミュニティリーダーとの出会い2016年4⽉14⽇に発⽣した熊本地震において,数多くの仮設住宅が建設されたことから,東⽇本での孤⽴を防ぐコミュニティづくりの経験や教訓が活かせるのではないかと考え,熊本の復興に向けた情報の収集を⾏っていた。そのなかで,新聞記事において避難所でのコミュニティづくりに奔⾛し,その後,テクノ仮設住宅に⼊居した吉村静代⽒のことを知り,すぐに当該記事の新聞社に問い合わせ情報提供を受けた。同年8⽉22⽇に吉村⽒を当時のあすと⻑町第三災害公営住宅⾃治会⻑とともに訪問し,仮設住宅からのコミュニティ形成⽀援の取り組みを紹介した。その数⽇後(8⽉27⽇)には,吉村⽒があすと⻑町を訪れ,退去が進んだ仮設住宅の現状の視察,災害公営住宅でのずんだ餅づくりのイベントに参加して,住⺠主導の復興住まいまちづくりについての臨場感を味わってもらった写真3-1 テクノ益城町の仮設住宅2017.6.18まちづくりについての臨場感を味わってもらった。吉村⽒は,熊本地震後,⾃⾝が避難した中央⼩学校にて4⽉から8⽉にかけて⽣活し,住⺠(被災者)主導で避難所運営を展開し,毎⽇のように暖かい⼿作りの⾷事の提供,就寝・⾷事・⼦どものプレイスペース等のゾーン分けなどを実践し,マスコミでも数多く取り上げられている。8⽉から⼊居したテクノ仮設住宅写真3-2 建設中の木山下辻災害公営2019.11.19

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