2019実践研究報告集NO.1718
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しの満⾜度については,「⼤変満⾜している」と「ある程度満⾜している」を合わせると72.8%と⾼い割合を⽰した。⾃治会が結成された際の⼊会意向については,「⼊会したい」39.4%,「⼊会を希望しない」42.1%という結果で,⾃治会結成に向けては困難な状況がデータで⽰された⼀⽅⾼齢者への⾒守り活動については表2-1 清水沢東住宅の地域運営システムの形成過程で⽰された。⽅,⾼齢者への⾒守り活動については,「⾒守られる側で参加したい」11.5%,「⾒守る側で参加したい」15.8%,「両⽅の⽴場で参加したい」26.3%と,テーマを絞った形で地域に貢献することへの関⼼は,必ずしも低い値とは⾔えない結果であった。調査結果を報告する報告会を2017年11⽉に開催し,これが起点となって⾃治会結成への動きが活性化された。まず,3号棟が独⽴して結成する⽅向で動き出した。調査結果において,3号棟居住者の多く世帯が単独での⾃治会結成を望んでいたことが明らかになったことを反映してのことである。その後,例会には1,2号棟居住者のみが出席するようになったが,やはり⾃治会結成への前向きな反応はみられなかった。そこで,例会とは別に機会を設けて,世話⼈会のコアメンバー4名(30,40代⼥性3名,60代⼥性)と筆者らで話し合いを⾏った2016年6月9月11月3号棟入居開始1,2号棟入居開始世話人会発足で話し合いを⾏った。そのなかで把握できたのは,⽉1回の外廊下等の共⽤部の掃除は,参加⼈数は限られるものの継続的に実施されていること,ゴミ置場の掃除,敷地内の草刈り,花壇の⼿⼊れ,⾼齢者の⾒回りなどを,それぞれ⽇常的に⾃発的に実施している居住者有志がいることであった。さらに,世話⼈会メンバーが中⼼となって,夏祭り,芋煮会,クリスマス会を宮城県の助成を受けて実11月2017年4月8月10月11月12月2018年1月4月8月世話人会発足つなセン支援開始夏祭り開催芋煮会開催,アンケート実施,一般公営世帯入居開始アンケート調査報告会開催クリスマス会開催居住者組織設立検討ワークショップ清水沢東会設立,3号棟自治会設立夏祭り開催(東会)バーベキュー大会開催(3号棟)⾏委員会形式で開催し,それぞれ多くの居住者が参加していた。要するに,組織的にではないが,すでに⾃治的機能が概ね整っていたのである。そこで,⾃治的機能の充実とコミュニティ形成を図っていくことを⽬指して,これらの取り組みをサークルという形で公開して,それぞれ参加者を増強していく⽅針で動いてみることになった。具体的には,サークルメンバー募集の張り紙を掲⽰しその結果それぞれ数名の申し込み8月10月12月2019年1月3月夏祭り開催(東会),バベキュ大会開催(3号棟)芋煮会開催(東会),芋煮会開催(3号棟)クリスマス会開催(東会)集会所運営方式検討開始(東会,3号棟の協働)集会所利用サークル懇談会開催2019年4⽉からは併設する集会所の管理運営を市から居住者側に移管することとなり筆者らがサポトの張り紙を掲⽰し,その結果,それぞれ数名の申し込みがみられた。またコアメンバーの⼀⼈が,⼩学⽣以下を対象にした学習サークルを新たに週1回集会所で開催し始めたりもした。⼀⽅で,災害公営住宅は居住者同⼠による共同管理が義務付けられていることから,それらを管理する居住者組織(いわば管理組合)の結成を図っていくこら居住者側に移管することとなり,筆者らがサポートしながら検討を実施していった。そこでは利⽤料を徴収する⽅式をとることになった。また外部団体との懇談会を設け,利⽤料の⾦額設定や予約受付や鍵管理の⽅法などについて意⾒交換し,それをもとに利⽤規約を作成した。また,この懇談会には3号棟⾃治会も参加し,これを契機に連携,協⼒を強化していく意向が双⽅から⽰された。この時点で,集会所の⽇常的なイベとにした。塩竈市の場合,共⽤部(EV含む)の電気代,管球類(LED等)の取替費⽤などが居住者負担となっており,掃除⽤具,草刈り機,その燃料等の費⽤とあわせて予算を算出し,⽉額千円の共益費を徴収する案を作成し,世話⼈会,広報配布にて周知していった。この動きに対しては,居住者らの反発もなく,2018年4⽉に1,2号棟からなる清⽔沢東会(169世帯)が結成され共益費徴収も100%に近い割合で達成できているント開催などで利⽤している団体は,居住者グループが6団体,外部⽀援が8団体であった。2.2.2 清⽔沢東での取り組みからの知⾒①新たな地域運営清⽔沢東住宅の居住者組織は,居住者に課せられた義務の取り組みと,任意の取り組みを整理しながら組織化を図っていったことで全世帯参加の組織を結成でれ,共益費徴収も100%に近い割合で達成できている。また3号棟(31世帯)は同時期に単独で⾃治会という名称で居住者組織を結成したが,⾼齢化が著しいため,主な活動は共益費徴収,共⽤部掃除で,親睦的取り組み(バーベキュー,芋煮会)は,筆者らがサポートして開催するに留まっており,結果的に,清⽔沢東会同様,主に住宅管理を担う組織となっている。織化を図っていったことで全世帯参加の組織を結成できたことが成果といえる。今⽇,災害公営住宅に限らず,全国各地で⾃治組織が機能しにくくなっているが,その要因として⾼齢化による担い⼿不⾜に加え,⾃治に求められる機能が多岐にわたり,⾃治会役員の負担が⼤きくなっていることが挙げられる。災害公営住宅の場合は,さらに住宅管理が義務付けられていることから,与えられている役割がさらに多岐にわたる。そ

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