2019実践研究報告集NO.1718
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実践研究報告No.1718 熊本益城町での熊本・益城町での復興住まいまちづくり導⼊⽀援―東⽇本⼤震災復興コミュニティ形成⽀援の経験と教訓を熊本へ―筆者らは東⽇本⼤震災の復興過程において,被災各地で孤⽴を防ぐコミュニティづくりの⽀援を実践してきた。2016年には「NPO法⼈つながりデザインセンター・あすと⻑町」を⽴ち上げ,いまも各地で取り組みを続けているこれまでの⽀援には⼆つのタイプがあり東北⼯業⼤学准教授/新井信幸⼩地沢将之、岩佐明彦で取り組みを続けている。これまでの⽀援には⼆つのタイプがあり,⼀つは仮設住宅でコミュニティを育んで災害公営住宅に継承した「あすと⻑町」の取り組み,もう⼀つは,災害公営住宅の移⾏期からコミュニティ形成⽀援を実施する「塩竈」の取り組みがある。本稿では,これらの経験を2016年4⽉に発⽣した熊本地震の復興において活かそうと,現地での⽀援体制構築を⽬指して取り組んできた活動の報告を⾏う。1. 活動の背景1.1 建築物省エネ法と「省エネ基準」「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(2015年公布以下建築物省エネ法)にもとづく省(2015年公布,以下,建築物省エネ法)にもとづく省エネルギーのための建築関連の基準(以下,省エネ基準)は,住宅について,国内を8地域に区分し,地域ごとの建築の内外の境界(外⽪)に関する基準値を定め,算定される設計⼀次エネルギー消費量が基準値を上回らないものとしている。本稿執筆時点(2019年10⽉)で,300㎡以上の建築物の新築,増築の際の届出の義務付け,「住宅トップランナー制度」(年間150⼾以上を供給する住宅事業者に遵守を促す)等により「省エネ基準」が推進されている。1.2 沖縄県(8地域)における問題点この省エネ基準はUA値(外⽪平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均⽇射熱取得率)の基準値を地域ごとに定め,基準値を越えないことを求める(以下,外⽪基準注1))沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪資料1 省エネ基準と沖縄モデルの違いの研究会の活動を通じて沖縄の気候⾵⼟に適応し省エ注1))。沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪基準は,UA値の基準値はなくηACが3.2以下としている。沖縄県においては,現⾏の外⽪基準が⽰されて以降,沖縄の建築設計者が通常の⽅法と考えている住宅設計の多くが外⽪基準に適合しないことが指摘されるようになった。さらに筆者らは特定⾮営利活動法⼈・蒸暑地域住まいの研究会の活動を通じて,沖縄の気候⾵⼟に適応し省エネネ性能を⾼めた住宅が外⽪基準に適合問題を指摘してきた。また、沖縄県は2017年度に「沖縄らしい気候⾵⼟適応住宅形成事業」を実施し,蒸暑地域住まいの研究会がその作業に関与した。その際,県内の⼀般的な住宅のηACが⼤幅に3.2を越えること,さらには,沖縄県,環境省,国⼟交通省それぞれのモデル事業で環境への適応図3-3復興住まいまちづくり学習会の様⼦

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