2019実践研究報告集NO.1718
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(1)地域ごとの支援計画の策定(2)対象地区のコミュニティ形成段階に応じた自治組織支援①自治会未結成(自治会設立準備組織,世話人会の運営支援)②自治会結成後段階(自治会結成後における各種会議の開催支援)③集会所利用に関するルール・管理方法の検討④現時点で,益城町役場は主に居住者組織づくり(居住者による住宅管理体制構築)の⽀援を展開しているが,集会所の居場所化に向けては未対応の状態である。今後,集会所の管理運営については,外部に開かれた利⽤促進がポイントになっていくと思われるが,そうしたかたちの仕組みが現地の実情にマッチングする表3-4 塩竃市コミュニティ形成支援事業仕様書の要約(3)コミュニティ形成支援①外部支援団体等のピックアップ②住民サークル結成支援③外部団体と連携した居場所づくり(4)関係者連絡会議(ステークホルダー会議)の運営(5)情報誌(まちづくり通信)の発行したかたちの仕組みが現地の実情にマッチングするかどうかを⾒極めるため,仮設住宅で⽀援を実践してきた団体の情報を収集する調査の実施などが必要になると思われる。4.益城町での取り組みの成果と知⾒当初,益城町での復興コミュニティ⽀援の体制構築については,あすと⻑町型の仮設住宅から災害公営住宅へコミュニティを継承する⽀援を想定したものであったが,被災の状況等によって住宅再建意向などの,状況が異なっていたことから,マッチングには⾄らなかった。また復興プロセスにおけるコミュニティリーダーらが軒並み⾃⼒再建であったことも適さなかった要因の⼀つであるといえる。⼀⽅,塩竈型の災害公営住宅移⾏期からのコミュニティ形成⽀援については,被災地の⾃治体と専⾨家とのパトナシップによる⽀援であり内容的にも体のパートナーシップによる⽀援であり,内容的にも体系的な取り組みであったことから,益城町役場職員に受け⼊れられやすかったものと思われる。また同職員らは,仮設住宅における⾃治の担い⼿不⾜を痛感していたことから,新たな地域運営体制の必要性に対してイメージを共有することができ,そうしたことが塩竈型の⽀援への理解を深めていったと考えられる。このように,本実践的研究では,当初の想定とは異なるところも多かったが,東⽇本⼤震災での⽀援の経験を,熊本地震の被災地である益城町で活⽤してもらうかたちとなった。改めて,本実践的研究を通して得られた知⾒や課題を以下にまとめる。①過去の復興⽀援の経験を次の被災地で活かす場合①過去の復興⽀援の経験を次の被災地で活かす場合には,⽀援のパターンを事前に複数⽤意しておくことが重要で,現地(次の被災地)の実情に応じた柔軟な⽀援体制の構築が重要である。②住⺠主導の復興住まいまちづくりを⽀援する体制構築には,現地での実践のための資⾦確保が⼤きな課題といえる。⽀援の⽅法論が伝わったとしても,ある<研究主査>・新井信幸東北⼯業⼤学准教授<研究委員>・⼩地沢将之,程度の資⾦確保ができないと,動き出しは困難である。熊本県内の⽀援情報を蓄積するKVORDに相談訪問した際には,その点が危惧された。③現地との復興に関する情報交換は,1ヶ⽉に1度程度は必要であったと感じている。今回は仙台と熊本の間のやり取りのため,旅費がかさむことからその点が⼗分対応できなかった。・⼩地沢将之宮城⼤学准教授・岩佐明彦法政⼤学教授*当実践研究報告普及版は『住総研研究論⽂集・実践研究報告集』No.46の抜粋版です。参考⽂献は報告集本書をご覧ください。

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