2017実践研究報告集NO.1619
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2.地形と避難方向の把握気仙沼市の中⼼市街地で、昼間(11〜15時)と夜間(19〜22時)のそれぞれの時間帯にどの程度、⾼台への避難経路を認識できるかを把握する調査を⾏った5名の調査者が⾼台へと接続する経路が認識できる道路上の範囲を指摘した。図21と図22に調査結果を⽰す避難路を認識図2-1と図2-2に調査結果を⽰す。避難路を認識できる範囲を線の種別で表している。指定されている避難場所と⾼台⽅向、避難場所につながる経路への⼊⼝を合わせて⽰している。昼間は多くの場所から丘陵地を視認可能なことから⾼台⽅向が把握できる。ただし⾼台への⼊⼝部分が分かりにくく、交差点(分岐路)から離れた場所では認識しにくいところがあった。⼀⽅、昼間と夜間(通常時)を⽐較する図2-1 昼間の避難路認識調査があった。⽅、昼間と夜間(通常時)を⽐較すると、夜間の避難路認識範囲は全体的に狭くなっており、避難場所へ接続する経路の⼊⼝から10〜30mの距離でしか認識できていないところが多い。夜間通常時は、⽩⾊光の防犯灯のみが地形の⾼さや避難⽅向とは関係なくほぼ等間隔に設置されている。道路は認識できても、⾼台⽅向を認識する⼿掛かりが乏しく、避難場所に接続する交差点の位置も分かりにくまた海岸沿地形や神社など気仙分かりにくい。また海岸沿いの地形や神社など気仙沼独特の⾵景も夜間には感じられにくかった。避難経路を把握するためには、⼤局的な地理的⽅向や地形の認識、経路の認識、⾼台への⼊⼝部分の認識が必要である。そこでこれらの認識を向上するモデル地区として図2-3に⽰す4つの場所を選定し、夜間照明の実践活動を検討することとした。夜間照明の実践活動を検討することとした。4箇所の照明設置実践場所図2-2夜間通常時避難路認識調査1)「五⼗鈴神社」は内湾から張り出した神明崎にあり、気仙沼の鎮守となる神社である。海抜10m強の⾼さにあるため津波被害は限定的であった。内湾の様々な場所から認識可能であるため、照明を追加することの視覚効果が⼤きいと考えた。2)「沿岸ビル」は海岸沿いの道路の交差点に建つ建物であり、沿岸から内陸部への起点となる場所に位置している。図2-3照明設置実践場所(4箇所)3)「⼊沢住宅街」は、津波被害を極限で免れた地域で、⾼台への起点となる場所に位置している。19時以降には⽞関灯などはほとんど点灯しておらず、⼈の気配も感じられにくい状況であった。4)「⼋⽇町商店街」は、気仙沼の中でも津波被害が⽐較的少ない商店街であり、昔ながらの活気ある⾵景が残っている地区である。住総研 実践研究報告集 No.44, 2017年版 普及版 34

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