2017実践研究報告集NO.1616
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回収率は表4-3のとおりである。⽐較対象として実施した別棟とは回収率が異なる。⻄I棟では,今後の近所付き合いについてもっと関わりたい回答が⾒られたのに対して,別棟では全ての回答で近所付き合いをやめる⽅向の回答であった。⻄I棟の回答は既存住⼈,新規住⼈ともに同様の内容であった。また,同じ建物に住んでいる⼈をどれくらい知っているか?については⻄I棟では全ての回答者が半分以上4.実践活動の成果4.1団地住⼈の関係性の変化実践活動期間での変化として,住⼈の関係性の変化がある。当初,主査等が主催し,声掛けをして開催していた住⼈同⼠の交流会であったが,2017年春頃から,住⼈の声かけによって開催されるようになった。特に2017年以降の新規⼊居者へも積極的に声掛けをおこなうなど近所付き合いを始めるきっかっけを住⼈⾃らがるか?については,⻄I棟では全ての回答者が半分以上知っていると答えたのに対し,別棟ではほとんど知らないの回答が⼤半を占めた。近所付き合いの変化については,⻄I棟では好転した記述が⾒られた⼀⽅,別棟では近所付き合いがなくなっていったとの回答が散⾒された。4.3⼊居率の改善・⼊居⾒学者の増加うなど,近所付き合いを始めるきっかっけを住⼈⾃らがつくり始めている。実践の⽬的の⼀つである団地⼊居率の改善であるが,⼗分に達成できた。以下,⼊居率の変化を表にまとめる。表4-3 ⼊居率の変化※シェアスペスを除く住⼾数を⺟数とする図4-1 住⼈⾷事会の様⼦また2016年末の餅つきでは,団地住⼈が積極的に関わり,お客さんとして参加するのではなく,⼀緒に場をつくる存在として,主体形成ができてきたと⾔える。2016年6月時点2017年10月時点入居戸数9戸13戸入居率60%87%※シェアスペースを除く住⼾数を⺟数とする2017年10⽉現在の空室は2部屋である。2017年に⼊って,4軒の⼊居があった。いずれも若い世帯であり,積極的に団地住まいを選ぶ属性にない。アンケート調査では,いずれの⼊居者も「適度な距離での近所付き合いがあるところ」,を⼊居の理由として挙げていた。また,建物を知るきっかけも「イベントでその他,2017年の⼊居者が中⼼となって,シェアスペースでカフェを開き,そこに古くからの住⼈が参加するなど,主査が不在でも様々な関係性が成り⽴っている。これは,コミュニティの持続可能性といった視点から,住⼈同⼠で⼗分に継続する関係性,仕組みが構築できつつあると評価できる。これらの104号室でのイベントが⽇常化しており,わずかながらも団地住⼈の居住環境に4.2アンケート調査の結果実践の成果を測るために,住⼈アンケートをおこなった。アンケートの詳細は表4-1,4-2のとおり。アンケートの実施にあたっては,世帯調査とせず各⼾2票とし幅広い⽅からの回答を得ることを狙った。また内容は居住歴と近所付き合いにいてを主とした知った」や「シェアスペースを探しているときに⾒つけた」など,引越し先として⾒つけたのではなく,まずは他の理由で知り,空室があることがわかってから,引っ越している。その他,⼊居の理由としては。「部屋のDIYができるところ」も挙がった。物件所有者である藤⽥の考えのもと,⼀部DIYが許可されている。ある⼊居者は,リノベション作業を参加型にし多くのひとを巻き込んで良い変化を促したと考えられる。歴と近所付き合いについてを主とした。表4-1 アンケート調査の概要ベーション作業を参加型にし,多くのひとを巻き込んで⾃宅をつくった。また,⼊居にはいたらなかったものの,⼊居⾒学者も増加した。多くの⾒学者がFacebook等を情報の⼊り⼝としており,コミュニティのある暮らしに興味を持っていた。その他,多数のメディアに掲載されたことが,⼊居⾒学者の増加に拍⾞をかけたと⾔える。対象コーポラスはりま西I棟,別棟1棟(計2棟)配布住戸ポスティング回収集合ポストに回収箱,無記名調査時期2016年9月調査票数全54票表4-2 アンケート調査の質問項⽬(1世帯2票)属性回答者の年代・居住人数・家族の年代・すまいについて居住年数・以前の住まい・階数・入居の理由・気に入っているところ・近くにほしい施設近所付き合同じ建物に住んでいる人をどれくらい図4-3 新規⼊居者の部屋を参加型WSでリノベーション近所付き合いについて同じ建物に住んでる人をどれくら知っているか・話す機会はあるか・入居後の近所付き合いの変化・今後の近所付き合いについて・近所付き合いの頻度(あいさつ、立ち話、家の行き来、おすそわけ、物の貸し借り、助け合い)住総研 実践研究報告集 No.44, 2017年版 普及版 8

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